Fantômeについての個人的雑感
ということで今更説明不要な宇多田ヒカル最新アルバム「Fantôme」についてなんとなく感じたことを聴いてすぐのうちにまとめておくための記事。
今後繰り返し聴いていくだろうからその辺の感じ方は変化していくと思うけど今の自分はこう感じましたよというあれ。
とりあえず誰がどう聴いても暗めな印象を受けると思う。
理由としては別離、特に死別をテーマとした曲が多いから。
道、花束を君に、桜流し。
11曲中3曲が一聴して明らかに別離をテーマとして作られている。
もしかしたらまだ隠されているものがあるのかもしれない。
これに関しては母、藤圭子さんとの死別が影響しているのは想像に難くない。
そう、想像に難くないというのが今までのアルバムとの決定的な違いだと個人的な考えである。
HEART STATIONまでの宇多田ヒカルはどんな生き方をしたらこんな曲を書けるのかというのが個人的な感想だった。
しかしFantômeは曲ごとのバックボーンというかベースになっているであろう経験がうかがえるようになった気がした。
それがいいことなのか悪いことなのかはわからないが少なくとも彼女が2010年以降アーティスト活動を休止し人間活動に専念した結果なのではないかと思う。
簡潔にFantômeというアルバムを表すとしたら「彼女の人間らしさが最も色濃く表現されているアルバム」というのが僕が現状感じているところである。
だからというわけではないが正直なところ手放しでこれは名盤だ!という評価を下せずにいる。
もちろん売上、ランキングなどは名盤と評するに疑いようのないところである。
だからと言って万人が数字通りの評価をするかと言われたら疑問が残るところだ。
しかし死別という一つのテーマに対して乗り越える勇気、受け入れる強さ、底知れぬ哀愁という異なる答えの出し方、ソングライティング能力に関して宇多田ヒカルの才能を疑う余地は全くない。